特別展「兵庫県立美術館開館20周年記念 李禹煥 」2022/12/13〜2023/2/12
李禹煥 (Lee Ufan)氏の作品は、場所と作品が互いに共振するように考えられています。氏も展示される環境を常に意識されています。そして見る人に静かな影響を届けます。それは強く感情的なものではなく、静かで密やかなエネルギーです。強いエゴではありません。
それは西洋的なものではありません。しかし仏教的なものとも思えません。私にとっては、神社の静謐な空間、深い森の中で感じるものに一番近いものです。何か静かな始まりに近いものです。
展覧会のために作られた薄いグレーの壁(パーテション)も作品です。安藤忠雄氏設計の空間とも共振し、私には本年一番の展覧会でした。一人でウイークデーにゆったりと。お勧めします。
2010年に直島にできた 李禹煥 美術館にも行ってみたくなりました。
展覧会概要
(兵庫県立美術館のホームページより)
国際的にも大きな注目を集めてきた「もの派」を代表する美術家、 李禹煥 (リ・ウファン、1936年生)の待望の日本での大規模な回顧展を開催します。
東洋と西洋のさまざまな思想や文学を貪欲に吸収した李は、1960年代から現代美術に関心を深め、60年代後半に入って本格的に制作を開始しました。視覚の不確かさを乗り越えようとした李は、自然や人工の素材を節制の姿勢で組み合わせ提示する「もの派」と呼ばれる動向を牽引しました。また、すべては相互関係のもとにあるという世界観を、視覚芸術だけでなく、著述においても展開しました。
李の作品は、芸術をイメージや主題、意味の世界から解放し、ものともの、ものと人との関係を問いかけます。それは、世界のすべてが共時的に存在し、相互に関連しあっていることの証なのです。奇しくも私たちは、新型コロナウィルスの脅威に晒され、人間中心主義の世界観に変更を迫られています。李の思想と実践は、未曾有の危機を脱するための啓示に満ちた導きでもあります。
本展では、「もの派」にいたる前の視覚の問題を問う初期作品から、彫刻の概念を変えた「関係項」シリーズ、そして、静謐なリズムを奏でる精神性の高い絵画など、代表作が一堂に会します。また、李の創造の軌跡をたどる過去の作品とともに、新たな境地を示す新作も出品されます。
本展のみどころ
1.「もの派」を代表する美術家、 李禹煥 の西日本では初めてとなる大回顧展です。
※本展は2022年8月から国立新美術館で開催された展覧会が巡回するものです。ただし出品作品は一部異なります。
2.展示構成は李禹煥が自ら考案しました。1960年代の最初期の作品から最新作まで、李の仕事を網羅的に浮き彫りにします。
3.彫刻と絵画の2つセクションに大きく分かれています。彫刻と絵画の展開の過程が、それぞれ時系列的に理解できるように展示されます。
4.安藤忠雄設計による兵庫県立美術館の建築に合わせ、屋外にも新作が展示されます。
5.音声ガイドはなんと無料。ナビゲーターは俳優の中谷美紀さんが務めます。
<中谷美紀さんのメッセージ>
「この上なくシンプルな点や線、そして石や鉄板などで表される李禹煥さんの作品は、溢れた物や情報に埋もれて息苦しく感じている現代に生きる私たちの心身を解き放ってくれます。俗に言う肖像画や静物画、風景画などは一切ありませんが、点や線の周囲に贅沢に残された余白こそが饒舌に語りかけてくるような気がしています。
私にとって李禹煥さんの静かで厳かな作品は、心の拠り所であり、少しがんばりすぎたり、急ぎすぎた際に、ふと立ち止まって、自らを省みるための鏡のようでもあります。これらの作品群を鑑賞する際に、決して正解はありません。
ご覧になる方が思い思いに作品と向き合い、対話し、斜めから眺めてみたり、かがんで見上げてみたり、時には彫刻作品の上を歩いてみたりすることで、これまで生育過程や社会で植え付けられてきたステレオタイプな価値観を疑ってみる機会となるのではないでしょうか?」
開催情報
- 展覧会名
- 特別展「兵庫県立美術館開館20周年記念 李禹煥 」
- 会期
- 2022年12月13日[火]-2023年2月12日[日]
- 会場
- 兵庫県立美術館
- 開館時間
- 午前10時-午後6時 入場は閉館30分前まで
- 休館日
- 月曜日、年末年始(12月31日[土]-1月2日[月])
※ただし1月9日[月]は開館、1月10日[火]は休館 - 入館料
- 当日
一般 1,600円
大学生 1,200円
高校生以下 無料
70歳以上 800円
障がいのある方 一般 400円
障がいのある方 大学生 300円
※一般以外の料金でご利用される方は証明できるものを観覧当日ご提示ください
※障がいのある方1名につき、介護の方1名無料
※コレクション展は別途観覧料が必要です(本展とあわせて観覧される場合は割引があります)
※予約制ではありません。混雑時は人数制限を行いますのでお待ちいただく場合があります
※団体鑑賞をご希望の場合は1ヶ月前までにご連絡ください
主なチケット販売場所
・ローソンチケット(Lコード:51645)
・チケットぴあ(Pコード:686-203)
・セブンチケット(セブンコード:096-988)
・楽天チケット
・イープラス
・CNプレイガイド
ほか - 主催
- 兵庫県立美術館、朝日新聞社、独立行政法人日本芸術文化振興会、文化庁
- 協力
- SCAI THE BATHHOUSE
- 協賛
- 公益財団法人伊藤文化財団
- 助成
- 一般財団法人安藤忠雄文化財団
- 特別協力
- 公益財団法人日本教育公務員弘済会 兵庫支部