竹中大工道具館 2024/ 3/2~ 5/ 19: 鉋台をつくる ―東京における台屋の成立と発展
竹中大工道具館は新神戸駅近くの、素敵な空間を持つミュージアムです。日本の大工の技や道具を中心に独自の展示を続けておられます。建築の世界でも様々な手技が失われていく今、とても大事なことだと思います。今回は鉋(かんな)という、木材を精密に削って仕上げていく道具のベースとなる 鉋台をつくる ことについての展示です。精緻で重要な技術を残していくことは知ることから始まります。是非。
「鉋身(かんなみ)一丁に鉋台十丁」といわれるほど鉋台の消耗は早く、台鉋の普及から長きに渡り大工たちは自ら鉋台をつくり鉋刃をすげ、より切れ味のよい道具に仕上げて日々の仕事をしていました。明治時代の終わり頃から、木材をより精密により速やかに加工するためにさまざまな特殊鉋が工夫されるようになると、鉋台づく りの専門職人が現れて昭和に至るまで「台屋」として活躍しました。展覧会では「ゆるまない」「狂わない」鉋台を打つ名人として知られた鉋台職人、やまあさ伊藤商店店主の伊藤宗一郎さん(1922-2017)を中心に、おもに東京近郊で活躍した個性溢れる台屋たちが生み出した多種多様な鉋を展示し、台入れ工 程を台屋が用いる専用の道具や映像等でご紹介します。近年、台屋は数少ない存在となり再び大工自らが鉋台をつくる時代が訪れています。大工をはじめとする職人たちが優れた手道具を使いこなして腕を振るった時代、鉋台づくりの名人たちはその技を極め、黙々とものづくりを支えていました。これまで語られることの少なかった鉋台職人の世界をぜひご覧ください。
■ご注意
このミュージアムのお庭には、止め石(とめいし)というものが所々に設置されています。これは日本庭園や神社仏閣の境内において、そこから先は立ち入り禁止、非公開を意味するものです。庭の中へは入れません。繊細な美しい庭を維持管理していくために必要なことですので是非、ご協力ください。
止め石:関守石(せきもりいし)や留め石、関石、極石、踏止石などとも言います。丸い石に黒い棕櫚(シュロ)縄を十文字に掛けたものなどが使用されます。
開催情報
会 期 : 2024年3月2日(土)~5月19日(日)
会 場 : 竹中大工道具館1Fホール
開催時間 : 9:30〜16:30(入館は16:00まで)
休 館 : 日月曜日(祝日の場合は翌日)
入館料 : 一般 700 円、大高生・65 歳以上の方 500 円、中学生以下無料※常設展観覧料を含む
主 催 : 竹中大工道具館
監 修 : 土田昇(土田刃物店店主)
協 力 : 小吉屋渡辺木工所、横堀樫材店公式サイトhttps://www.dougukan.jp/special_exhibition/kannadai
関連イベント
■実演「台入れ」
鉋台の専門職人「台屋」の第一人者をお迎えし、台入れの実演を通してさまざまな技と道具、台屋の仕事の中身を披露していただきます。
日 時 : 2024年3月23日(土) 10:00~11:30・14:00~15:30のお好きな時間
講 師 : 渡辺光雄(小吉屋渡辺木工所代表)
会 場 : 竹中大工道具館B2F木工室
参加費 : 無料(別途入館料が必要)
定 員 : どなたでもご見学いただけます申込み不要
■「技と心」セミナー[105]座談会「鉋台自作の時代」
※WEB申込のみ。
明治から昭和にかけて、鉋台打ち職人たちはその技を磨き匠たちのものづくりを支えてきました。近年は専門職人の減少とともに使い手が鉋台を自作する時代を迎えています。今回の座談会では、数少ない台屋である「作り手」、鉋を扱う「道具屋」、木を加工する「使い手」それぞれの立場から、鉋台づくりのこれまでとこれからについて語り合います。
日 時 : 2024年3月24日(日) 13:30~15:30(13:00開場)
講 師 : 渡辺光雄(小吉屋渡辺木工所代表)、土田昇(土田刃物店店主)、加藤工匠(大工)
会 場 : デザイン・クリエイティブセンター神戸〈KIITO〉303兵庫県神戸市中央区小野浜町1-4
参加費 : 無料
定 員 : 80名 ※WEBからの事前申込制 ※応募者多数の場合は抽選申込締切3月2日(土)
関連イベント申込方法
イベントページよりお申込みください。
■イベントページ
○「技と心」セミナー[105]座談会「鉋台自作の時代」はこちら